連載コラム 自然エネルギー・アップデート

2030年に自然エネルギーの電力30%超へ
―原子力の再稼働に頼らない政策の重要性―

2017年4月14日 石田雅也 自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループマネージャー

 政府が4月11日に「再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議」の第1回の会合を開催、自然エネルギーの導入拡大に向けて2020年度までに実施する「連携アクションプラン」を決定した。経済産業省や環境省など7つの府省庁が連携するプロジェクトで、12分野に及ぶ施策と実行スケジュールをとりまとめたものだ。

 「連携アクションプラン」には風力からバイオマスまで各種の自然エネルギーの拡大策に加えて、蓄電池の低価格化や地域における分散型エネルギーシステムの推進などを盛り込んだ(図1)。各分野のアクションプランには実施済みのものも含まれていて、さほど目新しさは感じられないものの、関係する府省庁が2020年までのスケジュールを決めて取り組むことを宣言した点は重要だ。


図1 「再生可能エネルギー導入拡大に向けた関係府省庁連携アクションプラン(案)」の骨子
(出典)再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議(2017年4月11日)

環境省が2030年に向けた政策パッケージ

 とりわけ脱炭素社会への転換を主導する環境省が積極的である。閣僚会議後に山本公一環境大臣が、2030年に向けた政策パッケージの第1弾を今年の夏までに策定することを明らかにした。パッケージに盛り込む予定の政策は、以下の3つのテーマが中心になる。

1. ポテンシャルが大きい洋上を含めた風力・地熱等の最大活用
2. 地域資源である再エネを地域で利用する事業の推進
3. 業務ビルや家庭などでの自家発電・自家消費の促進

 環境省が関連省庁と連携した2020年度までのアクションプランにとどまらず、並行して2030年に向けた政策の立案に着手するのは、言うまでもなく国際公約に掲げた温室効果ガス排出量の削減目標を達成するためである。現状のままでは公約を守れない可能性が大きく、さらに踏み込んだ施策を早期に開始する必要がある。

原子力で発電電力量の20%は実現困難

 日本の温室効果ガス排出量の約4割を電力が占めている。2030年の国際公約を果たすために、資源エネルギー庁が「長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)」を2015年に公表した。2030年度には化石燃料による発電量を56%程度まで減らす一方、温室効果ガスを排出しない自然エネルギー(再エネ)を22~24%程度に、原子力を20~22%程度まで増やすことが前提になっている(図2)。しかし現状を見る限り、原子力を20%以上に拡大することは困難だ。


図2 2030年度の電力需要と電源構成
(出典)資源エネルギー庁「長期エネルギー需給見通しについて」(2015年8月)

 2030年度の総発電電力量(約1兆kWh)のうち20%以上を原子力で供給するためには、全国で30~35基を再稼働させる必要がある。いまやベースロード電源としての原子力の役割は小さくなり、一方で事故が起きた時の被害の大きさを全国の国民は今後も忘れないだろう。どう見ても2030年までに30基以上を再稼働できる状況ではなく、足りない分を自然エネルギーで補わなくてはならない。自然エネルギーの比率を30%以上に高める施策を早めに講じておくことが、国際公約の実現には不可欠になる。

 環境省は「2050年再生可能エネルギー等分散型エネルギー普及可能性検証」と題する報告書を2年前に公表したことがある。その中で自然エネルギーを最大限に拡大する施策を実施した場合の導入見込量を推定した。2030年には3566億kWhの電力を自然エネルギーで供給できて、国全体の発電電力量の35%程度に相当するとの予測だ(図3)。標準的な予測(中位のケース)でも30%は超える。


図3 自然エネルギーによる発電電力量の予測
(出典)環境省、三菱総合研究所「平成26年度2050年再生可能エネルギー等分散型エネルギー普及可能性検証検討委託業務報告書」(2015年4月)

 この報告書を公表した当時は楽観的すぎるとの批判も受けたが、固定価格買取制度による自然エネルギーの導入量が順調に拡大したことで、2020年に想定した2000億kWh超の達成は十分に可能な状況になってきた。環境省が新たに策定する2030年に向けた政策パッケージでは、自然エネルギーの比率を30%以上に高めることを前提に、意欲的なプログラムを盛り込むことを期待したい。

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