連載コラム 自然エネルギー・アップデート

太陽光発電の設備容量が日本で原子力を超える
-年間の発電量は2016年度で2倍以上に- 英語オリジナル

2017年5月19日 ロマン・ジスラー 自然エネルギー財団 研究員
トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団 理事長
石田雅也 自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループマネージャー

 2012年7月に固定価格買取制度が導入されて以降、日本の太陽光発電設備は急速に拡大してきた。その結果、2016年末の時点で、ついに太陽光発電の設備容量が原子力を上回った。日本でも欧米と同様にエネルギーの転換が着実に進んでいることを示す1つの指標と言える。

廃炉決定で原子力発電の設備容量が減り続ける

 太陽光発電の設備容量は2016年12月末で約4300万kW(キロワット)に達した。前年から800万kW以上も増えて、過去6年間で10倍の規模に拡大している(図1)。一方で原子力発電の設備容量は廃炉が決まった「福島第一原子力発電所」の6基を含めて、6年間で750万kWも減少した。2016年12月末の時点で運転可能な原子力発電の設備容量は約4150万kWである。



 今後も太陽光発電は増え続け、原子力発電は減り続ける。もはや両者の設備容量が逆転することは考えにくい。では実際の発電量はどうか。東日本大震災が発生した2011年度までは原子力の発電量がはるかに多かったが、震災後に全国各地で原子力発電所が運転を停止したことにより、2013年度から太陽光発電が上回るようになった。直近の2016年度の発電量を比較すると、原子力発電の約170億kWh(キロワット時)に対して、太陽光発電は2倍以上の約450億kWhに達する見通しだ(図2)。



 ただし同じ設備容量であれば、原子力発電のほうが多くの電力を生み出すことができる。年間を通して昼夜を問わず発電できて、通常は年に1回程度の定期検査のために運転を停止するだけで済む。1基ごとの設備利用率(設備容量に対する年間発電量の割合)を80~90%程度に高めることも可能である。一方の太陽光発電は晴れた日中にしか発電できず、日本国内の設備利用率は10~15%程度にとどまる。原子力発電と太陽光発電の設備容量を単純に比較しても意味がない、と言われる理由だ。

太陽光発電は電力需要の増減にマッチ

 しかし別の見方もできる。太陽光発電は電力の需要が伸びる昼間に増えて、需要が減る夜間には発電しない。需要がピークになる夏の昼間には電力の卸売価格が上昇するが、太陽光発電の電力は燃料費ゼロで供給できる。それだけ発電設備の価値は高まる。設備利用率が低くても、需要と供給のバランスを考えると原子力にない利点がある。

 これに対して原子力は季節や時間帯にかかわらず、基本的に一定の電力を供給し続ける。需要に関係なく、昼間と夜間の発電コストは同じだ。現在のところ原子力発電所の大半は運転していないが、いつでも運転可能な状態を維持するために一定のコストがかかっている。さらに再稼働させるには安全対策の投資が必要になり、運転に携わる要員のトレーニングを含めてコストは積み上がっていく。

 太陽光発電のコストは技術革新と市場拡大によって下がり続けることが確実だ。そうなると発電コストの面でも太陽光のほうが有利になり、高コストの原子力を再稼働させるメリットは時間の経過とともに薄れていく。年間の発電量で太陽光発電が原子力発電を上回り続ける可能性は大きい。

 日本政府が2014年に改訂した「エネルギー基本計画」では、2030年の電源構成の見通しを発電量ベースで設定している。原子力が20~22%程度、太陽光や水力を含めて自然エネルギーが22~24%程度である。しかし原子力発電で国全体の発電量の20%以上を供給するためには、現時点で運転可能な発電設備(合計42基)のうち8割以上を再稼働させなくてはならない。もはや現実的な目標でないことは明らかである。一方で自然エネルギーは政府が推進すれば、2030年に30%以上の水準まで増やせる。

 エネルギー基本計画は原則3年で見直すことになっている。次回の見直し時期は2017年、つまり今年だ。この機に太陽光発電の拡大と原子力発電の縮小を想定して、2030年の電源構成の目標値を修正するのが妥当だろう。

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