連載コラム 自然エネルギー・アップデート

エネルギー政策を普通の人々の手に

2014年2月7日 末吉 竹二郎 自然エネルギー財団 代表理事副理事長

地球が危機に向かっている。無論、無機質な地球が壊れるという意味ではない。「生命維持装置としての地球」のことである。その危機とは言うまでもなく、温暖化の危機であり、生物多様性の破壊であり、地球資源の枯渇等である。それだけではない。地球社会においては、極端な貧困の問題であり、格差の拡大であり、人権や感染症等の問題でもある。

地球の危機は深刻さを増すばかりだ。さりとて、世界中が座して手を拱いているわけではない。いよいよ、『経済の転換』が始まった。なぜならば、地球の危機をもたらしたのは、成長至上主義に陥った「ブラウン経済」であり、この経済モデルを根底から変えない限り真の問題解決はないからである。

では、そのブラウン経済とこれまでのエネルギー政策はどう関わってきたのか。安価にいつでもいくらでもエネルギーを供給するからどうぞ存分に使って生活を楽しんでください。経済はどんどん成長してください。これがブラウン経済の下でのエネルギー政策の在り方であった。つまり、ブラウン経済と一体となって大量生産・大量廃棄モデルを支えてきたのであった。そんなエネルギー政策は地球の危機をもたらした共同正犯とも言える。

改めて言うまでもなく、経済や社会を動かしそれを支えるのがエネルギーであり、エネルギーの在り方と経済や社会の在り方は一心同体である。こう考えると経済の転換には『エネルギーの転換』は避けて通れない。21世紀が求める経済は、無論、「グリーン経済」である。とすれば、これからのエネルギー政策はブラウンからグリーンへの経済の転換を進めるものでなければならない。そうすることで地球を危機から救い掛け替えのない生命維持装置を持続可能なものにできるのである。

さて、お伽噺の「桃太郎」にこんな一節がある。「おばあちゃんは川に洗濯に。おじいちゃんは山に柴刈りに」と。お伽噺に戻るまでもなく、元来、エネルギーは「自己責任の下での自己調達」だったのだ。それがいつしかビッグビジネスに組み込まれ、利便性と引き替えに大事な「エネルギーの選択権」を放棄してしまっていたのだ。

世界を見渡すと、再び、人々は自分たちの身丈に会ったエネルギーを求め始めた。個人や地域社会の場でエネルギーを手に入れようとしている。そうした流れの中で、エネルギー政策は専門家の手から普通の人々の手に移り、お金ではなく一人一人の人生観や倫理観、さらには、社会の中の公平性の問題として議論する時代が始まった。

周回遅れの日本のエネルギー政策の在り方を根底から見直されなければならない所以である。