連載コラム 自然エネルギー・アップデート

日本の将来世代のために 英語オリジナル

2015年7月9日 トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団 理事長

この時代に日本で生まれた子どもたちは、将来、今の政府を恨むかもしれない。理由は2つある。

一つは、政府が現在の納税者に国の支出を負担させるのではなく、約半分を借金して後の世代に付けを回していることだ。

もう一つは、政府が、持続可能なエネルギーの開発を十分に行わない一方で、現在の世代には、核廃棄物の発生や放射能汚染、化石燃料からの温室効果ガスの排出をゆるし、今日生まれる子どもが大人になった時、生活が困難になる要因をつくっていることである。

経済に悪影響を与えることなく財政支出を賄えるよう、上手に課税することは難しい。課税されたものは値上がりし、需要が低下するからだ。米に課税すれば、米の消費量が減少する。消費税を上げれば、消費そのものが鈍ってしまう。

しかし、最善な政策を求めて探究を続けた経済学者たちは、明快で直接的な手段を見つけた。社会の中には、環境汚染などの損害を生み出しているのに、そのコストを誰も払っていない行為がある。コストを負担せず価格に上乗せされないため、その価格は低すぎ、消費が増えすぎてしまう。これに対して政府が環境汚染のコストと等価の税を導入すれば、財政にも貢献し、経済の健全化にも役立つことになる。

こうした政策は、日本を将来世代の国民にとって、より魅力的な国にする契機となりうる。化石燃料からの二酸化炭素の排出、核廃棄物の発生、そして放射能汚染に相応の環境税を課せば、財政赤字を減らせると同時に、環境を破壊し、将来世代への負担を生み出す活動を回避するよう、市場を導くことができる。

先行事例はいろいろある。欧州には、環境税を導入し、環境保護と経済的持続可能性の両方を改善できた国がいくつかある。

二酸化炭素の排出量に比例した税を、化石燃料の輸入時に課税することは、容易にできる。排出量1キロ当たりに2円から3円課税するだけで、国家財政に大きく貢献し、エネルギー輸入を抑制し、国産エネルギー資源の収益性を高めることになる。

その結果、財政と環境が救われる上に、貿易収支も改善し、日本の地方で発展しつつあるバイオエネルギー産業の機会創出にも貢献するだろう。

しかし、こうした政策は、ごく一部の強大な日本の企業の利益に反するため、欧州では可能でも、日本では不可能なのだろう。それにしても、日本の政治家は、なぜ、国の将来にとって最善な策をとらないのだろうか?

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