連載コラム ドイツエネルギー便り

新記録達成 ドイツの再生可能エネルギー

2014年9月25日 一柳絵美 ベルリン自由大学環境政策研究センター 修士課程

ドイツの再生可能エネルギーが、更なる新記録を打ち出した。ドイツ・エネルギー水道事業連盟(BDEW)の発表によれば、2014年上半期の電力消費に占める再生可能エネルギーの割合が、過去最高の28.5%に到達することとなった ⅰ 。この値は、前年同時期の24.6%と比較して、約4%増加した計算になる。ドイツは、2025年までに総電力消費の40~45%、2035年までに55~60%、そして2050年までに80%を再生可能エネルギーでまかなうという目標達成にむけて、着実に歩みを進めている。

大記録更新の要因には、再生可能エネルギー設備の更なる増設や、温暖な気候が挙げられる。ベルリンの日刊紙「デア・ターゲスシュピーゲル」は、2014年上半期の陸上風力発電設備の建築数が、前年同時期の建築数と比較すると66%も増加したと報じている。これは、今年8月に改正が施行された「再生可能エネルギー優先法」(略称:再生可能エネルギー法、EEG)のもたらす影響が、投資家たちにとって不透明だったため、風力発電設備建設が急ピッチで行われたからだという。

再生可能エネルギーの拡大と化石燃料の縮小

そして、28.5%という記録によって、再生可能エネルギーはドイツ最大の電力源となった。2番手には、これまでの首位の座を明け渡した褐炭が25.1%で続き、石炭が18%、原子力15.4%、天然ガス9.8%、その他3.2%となっている。

さらに、ドイツの2014年上半期の総発電量をみてみると、再生可能エネルギーの躍進と化石燃料の縮小がよく確認できる。まず、同期間の総発電量308TWhのうち、ドイツ最大の再生可能エネルギー源である風力は、31TWhで前年同時期と比べて21.4%増加した。また、バイオマスが22TWhで5.2%増、そして太陽光が18.3TWhで27.3%増えた。このように、再生可能エネルギーによる発電量は総じて増加傾向にある。

一方で、化石燃料による発電量は減少している。褐炭による火力発電は77TWhで前年同時期と比べて4.9%減、石炭による火力発電は56TWhで11.1%減、天然ガスは30TWhで16.7%減となっている。そして、原子力による発電も47TWhで2.1%減少している。

二酸化炭素排出量の減少へ

また、各種機関から発表される統計数値などを分析評価するエネルギーバランス研究会(AG Energiebilanzen)によると、この冬の気候が温暖だったこともあり、2014年上半期のドイツ国内のエネルギー消費量が前年同時期に比べ8%減少したという ⅱ 。そして、同研究会は、過去2年間増加傾向にあった国内の二酸化炭素の排出量も、今年は減少に転じるだろうと予測している。これは、二酸化炭素排出量増加の大きな原因である化石燃料の消費の減少や、再生可能エネルギーの拡大によるものである。

このように、2014上半期まで順調な伸びをみせ、記録を更新してきたドイツの再生可能エネルギー。この夏のEEG改正が、2014年全体、そして来年以降どのような影響を及ぼすのか観察が必要だ。


 ⅰ Erneuerbare Energien erreichen neuen Rekordwert, Bundesverband der Energie- und Wasserwirtschaft e.V. (BDEW), Juli 2014
http://www.bdew.de/internet.nsf/id/20140729-pi-erneuerbare-energien-erreichen-neuen-rekordwert-de
 ⅱ Einsatz fossiler Energien im ersten Halbjahr rückläufig, AG Energiebilanzen.e.V. (AGEB), August 2014 http://www.ag-energiebilanzen.de/index.php?article_id=29&fileName=ageb_pressedienst_06_2014.pdf


執筆者プロフィール
一柳絵美
(いちやなぎ・えみ)
ドイツ在住歴計6年。2015年3月までドイツの大学院で環境マネジメントを学んだ。留学中、ヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所やドイツ連邦環境省などでインターンシップを経験。現在、自然エネルギー財団研究員。