連載コラム 自然エネルギー・アップデート

自然エネルギーの「日本コスト」を解消して、経済活性化を実現しよう 英語オリジナル

2015年1月16日 トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団 理事長

日本政府は電源別のコスト算定をやりなおそうとしている。しかし、政府には、もっと重要なやるべきことがあるのではないか。それは、日本の自然エネルギーを割高にしている「ホームメイドコスト」を取り除くことだ。コストが高くなるのは、だいたいいつも、不適切な規制のせいだ。政府や議会で決まった不適切な規制がコスト高をもたらしている。

一年前、自然エネルギー財団は、世界各地で風力発電が最低コストのオプションになっていることを報告した。例えば、ブラジルとオーストラリアにおいて、kWhあたりのコストが約4円の風力発電プロジェクトを紹介した。

それ以降も、様々な技術開発により、風力発電コストは低下し続けている。ポルトガルの電力会社EPDは、2014年の一年間、陸上風力が他の電源に大差をつけて最低コストだったことを報告した。従来の電源とのコスト差は、決して小さくなかった。ポルトガルでは、風力発電コストが石炭ベース発電コストのわずか三分の二。デンマークでも、エネルギー庁の報告によれば、新設の陸上風力発電コストは、新設の石炭およびガスベースの発電コストのわずか半分であった。

原子力は世界中で経済的に競争力を失っている。2014年の風力発電所の新設容量は、原子力発電の新設容量の10倍にのぼった。と同時に、少なくとも風力容量の10倍以上の原子力発電容量が閉鎖された。世界の風力発電容量は、2015年の間に、原子力発電容量を追い越すだろうと予想されている。もっとも、日本の古い原子炉が数基、廃炉決定されていると見なしたら、すでに追い越していることになる。

中国のような新興工業国では、新設容量だけでなく、年間発電量においても、風力がすでに原子力を上回っている。欧州でも、風力発電が伸びて主要電源となっている国がいくつもある。火力や原子力の発電所事業者がかつて「送電網の容量」を理由に主張していた自然エネルギーの発電可能量の限界をはるかに超えているのである。

送電網と発電所の所有権を分離した時から、「発電可能量の限界」という主張は姿を消した。当初、送電網の容量を考慮して、風力の割合は5~10%が限界だと主張されていたが、送電網所有者が発電コストの最小化をめざした結果、風力の割合はその「限界」をはるかに超えた。2013年、ポルトガルは風力で電気需要の四分の一をまかない、デンマークは三分の一をまかなった。さらにデンマークでは、2014年前半にすでに風力40%以上を達成し、2020年までには50%達成を目標としている。

これらの国では、政府が、化石燃料や核燃料を輸入するよりも、国内の風力資源から発電する方が低コストだと気づき、送電網を中立的な所有者に管理させ、新規参入発電事業者が平等な条件で競争に参加できる権利を法律で保障したのである。

その結果、経験を積んだ規制庁が、環境許可のプロセスを効率的に管理するようになった。送電網所有者は、電力料金の最小化を目的とし、旧来の原子力および火力発電事業者を新規の競争相手から保護することは特にしないため、送電網への接続は迅速に処理される。また、風力発電機の建設に係る規制や基準は、国際標準に合わせて規定され、コストのかかる不要なローカライズは回避されている。

経済活性化をめざす政府は、発電コストの算定をするだけでなく、国内の自然エネルギー源のコスト削減にも、真剣に取り組んでいるのである。

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