連載コラム 自然エネルギー・アップデート

2015年、自然エネルギー変革の幕開け 英語オリジナル

2016年1月21日 トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団理事長

 2015年は、自然エネルギーの導入や発電に関して、国内・世界記録が数多く生まれた年だった。世界全体の風力発電の累積導入量は400 GWをはるかに超え、原子力発電の設備容量を上回った。風力発電と太陽光発電は、合わせて100 GW以上増加した。どちらも50 GW強増設されたと見込まれているのだ。

 中国は現在、太陽光でも風力でも世界一の導入量を誇り、人口は世界の5分の1に満たないが、太陽光・風力の導入量は世界の約3分の1を占めている。設備容量においても、風力発電では数年前から世界一を誇ってきたが、2015年以降は太陽光発電でもドイツを抜いてトップに立つと見込まれている。

 一方、自然エネルギー導入の先駆者であるドイツも、引き続き順調な成果を挙げている。ドイツの風力発電量は2014年から28 TWh増加し、年間の伸びとしては過去最高を記録した。自然エネルギーによる発電量の合計は、国の電力消費量の3分の1を占めるようになった。ドイツでは日本などの国々と違って水力発電の資源が乏しいため、1990年末の自然エネルギー比率がわずか5%だったにもかかわらず、である。

 だが、自然エネルギーの変革は、導入量の急速な拡大だけでは成り立たない。導入が進んだことにより、電力業界で自然エネルギーの低コスト化が実現したことが重要なのである。デンマークやポルトガルなどの自然エネルギー先進国では、既に2014年には、新しい電源のなかで風力発電のコストが最も低くなっていた。

 世界の多くの地域では、系統から購入するより屋上太陽光パネルで発電するほうが安価に電力を得られるようになった。2015年には、太陽光による電力は他のどの電源にも負けない市場競争力をもち始めた。ブルームバーグのレポートによると、チリで行われた電力入札で、太陽光発電業者が7米セント/kWh以下で落札し、残りの容量も風力発電業者が8セント/kWhを少し下回る価格で契約した。入札額が9セント/kWh以上だった石炭火力発電は、1件も契約に至らなかった。

 太陽光発電で7セント/kWh以下という落札価格が実現したのは、チリだけではない。同様の入札結果は、ドバイ、テキサス、インドからも報告されている。ドイツのように太陽光資源の少ない国でも、これよりやや高い約8セント/kWhまで下がっている。

 価格の低下は予想されていたことであり、今後も続くと見込まれている。この変革は、もはや助成金頼みではないのだ。誰でも電力市場に参入でき、最低コストの発電事業者が消費者に売電できるスポット市場が存在するところでは、いずれ火力発電より自然エネルギーによる発電が選ばれるようになるだろう。

 いまだに電力会社が電力系統を支配し、新たな技術の競争を阻んでいる国では、このような発展は遅れるかもしれない。しかし、この流れはもう止まらない。自然エネルギーの利用を進める国は、大気汚染の削減、コストの低下という恩恵を得られるだけでなく、やがては輸入エネルギーへの依存からも脱却できるのだ。