連載コラム 自然エネルギー・アップデート

2020年東京オリンピックと持続可能性 英語版

2014年4月24日 大野輝之 自然エネルギー財団 常務理事

オリンピックと環境の関係が明確に意識されるようになったのは、1994 年に国際オリンピック委員会(IOC)が、パリで開催されたオリンピック100 周年会議において、「スポーツ」「文化」に加え、「環境」をオリンピック精神の第三の柱とすることを宣言して以来である。IOCのこうした環境重視のスタンスを受け、2000年のシドニーオリンピックも、「グリーンゲーム」という考え方を導入したが、立候補段階から「持続可能なオリンピック」をメインコンセプトに掲げたのは、2012年ロンドンオリンピックである。

大会後の2012年12月に、ロンドンオリンピック組織委員会(LOCOG)が公表した「ロンドン2012 ポストゲーム・サステイナビリティレポート」は、大会運営に直接起因する温室効果ガス排出量を標準ケースから28%削減したこと、大会期間中に発生する廃棄物を再利用などにより埋立処分量をゼロにする目標の達成などをあげ、ロンドンオリンピックが現代における「最も持続可能な大会」になった、としている。

2020年東京オリンピック招致を目指した立候補ファイルには、先行したロンドンの取組みを超えることをめざし、省エネルギー化や自然エネルギー利用などに関する、積極的な目標が提起されている。東京オリンピックが開催されるのはロンドン大会から8年後であり、エネルギー効率化や自然エネルギー技術における、ここ数年の、そして今後数年に進むであろう急速な進化を考えれば、立候補ファイルの意欲的な目標を達成することは、技術的には十分可能だろう。むしろ、達成の鍵を握るのは、オリンピックにおける持続可能性目標の重要性を認識し、これをこれから本格化する大会準備のプロセスに明確に位置づけられるか、という点にある。

2020年の東京オリンピックにおける持続可能性目標が重要なのは、特別な二つの理由がある。第一に、2020年東京オリンピック全体が、東日本大震災からの復興の姿を世界に示すことを目的にしており、エネルギー需給のあり方でも、福島原発事故後の問題を克服し、安全で持続可能なエネルギーシステムを実現した姿を世界に示すべきだ。第二は、2020年が地球温暖化対策に対する新たな国際的な枠組みが開始される年にあたることである。日本では、気候変動問題に関する議論がすっかり薄れているが、異常気象がもたらす災害は年を追って激しくなっている。東京は都市レベルで世界初のキャップ&トレード制度を導入してきた。2020年の東京オリンピックは、気候変動の分野でも世界をリードする取り組みを披露する場にしなければならない。

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