連載コラム 自然エネルギー・アップデート

太陽光発電は電力部門の転換を牽引する 英語オリジナル

2015年10月2日 アレクサンドル・ロシュ ソーラーパワー・ヨーロッパ* 規制部長

太陽光発電を語るとき、過去数年で技術コストが大幅に削減されたことに関心が集中することが多い。1990年代末に欧州で積極的な需要引き上げ政策がとられたのを基盤に、市場が目覚ましく発展したおかげで起こった変革である。 2000年には129MW(12.9万kW)だった接続容量が 、15年間で9万MW(9千万kW) まで急増している。

風力発電容量が大幅に増えたこともあって、2014年、欧州は大きな転機を迎えた。初めて、自然エネルギーからの発電が原子力の発電を上回ったのだ(グラフ参照)。太陽光は現在、EUの電力需要の3.5%を賄っている。これは欧州の大手電力会社に匹敵する市場占有率である。



しかし、太陽光発電は、市場流通の「明らかな」変化を牽引しているということ以外にも、見過ごされがちな特徴が2つある。それは電力部門の転換に深く影響を与える可能性があるものだ。一つ目は、太陽光発電事業が持つ、バリューチェーンへの「アクセスのしやすさ」という特徴である。石炭、ガス、原子力などの発電事業は、何十年もの経験や国際的なプレゼンスが必要だが、太陽光ビジネスは、比較的簡単に新規参入できる。太陽光発電は、限られた資源を掘削し、大規模で高価なインフラストラクチャーを使って輸送する必要がない。太陽のエネルギーを電気に変える装置をつくる「単純な」製造業で、大量生産の製造過程と同じ特徴を持つ。これはかなり朗報である。エネルギー転換がうまく起これば、産業転換や雇用シフトもうまく進む可能性が高いからだ。

太陽光発電の二つ目の特徴は、エネルギーの未来図にとって、さらに重要かもしれない。太陽光発電は、今の欧州で起こっている時代の趨勢、すなわち「最終消費者の顔が見える」という価値の創造にぴったりなのだ。新しい分散型エネルギーの世界で成功を収める、あるいは成功し続けるためには、既存の大手事業者は太陽光発電に関する観念を変える必要がある。伝統的なエネルギー源に対抗する純粋な競争相手というよりも、太陽光発電は、大手電気事業者にとって最終消費者への新しい窓口なのである。今後も革新的な事業者が、プロシューマーに新しい補足的なサービス(投資、蓄電、集約化、など)を提供し、消費者がエネルギー費用を抑える手助けをしながら、ビジネスを成長させていくだろう。

今、日本はエネルギー政策の岐路にいるが、このような欧州の動向は参考になるのではないか。太陽光は、地域の自然エネルギー源であるだけではなく、より包括的な産業転換をもたらす一翼を担っているのだ。

注)*旧・欧州太陽光発電産業協会


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