連載コラム 自然エネルギー・アップデート

世論に後押しされたドイツのエネルギー大転換 英語オリジナル

2015年1月9日 ヤン・ブルク ジャーマンウォッチ

ドイツは今、エネルギーシステムを大転換する政策「エナギーヴェンデ」に取り組んでいる。ドイツの「エナギーヴェンデ」を、2011年に起きた福島の原発事故と結び付けて考える人は少なくないが、この大転換の原点は、環境意識の向上と70年代の反核運動にあった。70年代にはすでに「エナギーヴェンデ」という造語が生まれ、代替エネルギーの供給を求める反核派によって使われていた(http://energytransition.de/2012/09/first-subchapter-chapter-4/)。

さらに1986年に起きたチェルノブイリ原発事故、および1973年と1979年のオイルショックによって、代替エネルギー源を確保する必要性が高まり、固定価格買取制度が発足するきっかけとなった。90年代には、太陽光発電を対象とした固定価格買取制度の原型がドイツの複数の町で導入された。この試験的制度では、発電に対する補償で初期投資費用を賄うことができた。また、1991年に電力供給法(Stromeinspeisegesetz)が施行され、ドイツ初の全国的な固定価格買取制度が導入された(http://energytransition.de/2012/10/renewable-energy-act-with-feed-in-tariffs/)。

エネルギーの大転換に向けたもう一つの重要なステップが、CO2削減プログラムである。このプログラムは1996年にドイツ復興金融公庫(Kreditanstalt für Wiederaufbau、略称KfW)の支援を受けて発足し、建物の省エネ化に主眼を置いていた。2年後には、エネルギー産業に関する法律が改正され、ドイツの電力市場は自由化に向けた第一歩を踏み出した。これによって、完全な独占状態だったエネルギー市場が開かれ、自然エネルギーを送電網に組み込めるようになった。

その数年前の1993年、ドイツの電力会社は依然として「自然エネルギーは電力需要のせいぜい4%しかカバーできないだろう(水力含む)。したがって、低排出による電力供給を確保するうえで原子力エネルギーに代わる選択肢はない」と、国民を説得しようとしていた。(1993年6月、ドイツの電力供給事業者の広告より)。現在の視点から見れば、このメッセージは完全に間違っていたことになる。ドイツの電力消費量における自然エネルギーの割合は1991年時点で3.4%だったが、2013年には24%に達したからである。(2014年、AGEB調べ



この持続可能な発展を促進した決定的な要因は、2000年に施行された再生可能エネルギー法(Erneuerbare Energien Gesetz、略称EEG)である。同法の導入と同時に、初めて脱原発の方針もドイツ政府によって決定された。

2010年以降の原子力法改正によって、ドイツ政府は原子炉の稼働期間を平均12年間延長し、脱原発を延期した。しかし、2011年3月に起きた福島の原発事故を受けて、ドイツで最も古い8カ所の原子力発電所が閉鎖。さらに、原子力発電所の稼働期間延長も見直され、脱原発の期限は再び2022年に前倒しされた(http://energytransition.de/2012/09/i-sub-2-1/)。

こうして生じた電力の供給ギャップは、すでに自然エネルギーによって埋められている。ドイツの連邦経済技術省(BMWI、http://www.bmwi-energiewende.de/EWD/Redaktion/Newsletter/2014/35/Meldung/rueckgang-energieverbrauch-meldung.html)によれば、2014年は国内電力消費量の27.3%を自然エネルギーで賄うことができた。その分、従来のエネルギー源による発電量は減少している。

ドイツ政府はCO2の排出量を1990年の水準より40%削減するという目標を決定したばかりだ。この目標の達成に向けた次の重要なステップとして、電力市場の設計を再検討しながら、自然エネルギーの利用拡大を引き続き推進し、褐炭のような汚染源による発電の段階的廃止を進めている。