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九州電力問題:透明で中立的な送電網運営が不可欠だ 英語版

2014年9月25日 大林ミカ 自然エネルギー財団 事業局長

9月24日、九州電力は、全管内の住宅用太陽光発電以外のすべての自然エネルギーの買取交渉の延期と回答留保を発表した。固定価格買取制度による変動電源(自然エネルギー)の拡大が急速で、このまま全部の系統連系を受け入れれば、九州電力管内の需給調整に支障をきたし、電力の安定供給が困難になる恐れがあるため、数ヶ月、交渉を保留し、検討期間に充てるためだという。

九州電力の発表によれば、7月末現在の申し込み量が全て接続されれば、接続総量が1260万kwに達し、これは、九電の昼間の最小需要800万kWを上回る、としている。この数字を聞くと九電が慌てるのも無理はないという見方もあるかもしれない。

しかし、認定量は1200万KW以上でも、今導入されている変動型自然エネルギー電源(太陽光+風力)は、まだ300万KWを少し超えたばかりである。この状態で、唐突に回答保留を開始することは、通常のビジネス常識からは考えられず、自然エネルギービジネスに大きな混乱をもたらすものだと言わざるを得ない。

確かに、日本の固定価格買取制度では、「当該電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき」、電力会社は自然エネルギー発電事業者からの系統連系の要請を拒否できる、とされている。しかし、考えなくてはならないのは、自然エネルギーを拡大するというこの法律の根本的な目的から考えれば、「拒否」は極めて抑制的かつ例外的に行使されるべきであるということだ。電力会社は、自然エネルギー事業者や電力ユーザーに対して、重大な説明責任を負っているのである。

これまで日本における自然エネルギー普及の取組みの中で、自然エネルギー事業者にとって最大の障害となってきたのは、電力会社による送電網への接続拒否である。直接的な拒否ではなくとも、巨額の接続工事費の請求や、数年以上にわたる工期の通達など、“婉曲的拒否”もある。すでに風力発電事業界は20年近く系統制約を受け、結果として、日本の技術力や風力量の状況に鑑みて、他国に比べ遥かに少ない量しか導入できていない。電力会社が認める量しか導入されてこなかったのである。

九州電力は、今回の発表の中で、「揚水運転の実施や地域間連系線の活用」などを検討するとしているが、自然エネルギーの導入に先進的に取り組んできた欧米の国や地域では、こうした工夫をずっと以前から行い、気象データによる発電量予測なども活用し、大量の自然エネルギーの導入を実現してきたのだ。今回の事態は、自然エネルギーの活用に向けて計画的に取り組んでこなかった結果ともいえる。

電力事業の中で、特に送電部門は、「道路」とも表現される高い公益性を持ち、公平で透明な運用が必要な部門である。送電網は、現在は民間会社である電力会社が所有運営しているが、発送電分離を待つのではなく、自然エネルギーを拡大するための送電網のあり方について、すぐにも議論が行われるべきだ。

今回、九州電力が数ヶ月間をかけて検討する内容そのものも、九州電力の内部検討にとどまらないよう、「広域的運用推進機関準備組合」や自然エネルギー事業者、政府なども参加して実施すべきである。経済産業大臣は、法に基づいて、円滑な接続が行われるため必要があると認めるときは、電力事業者に対して、必要な指導及び助言行う事ができることになっており、経産省は、九州電力の検討内容を検証し、公開していく責務があると考える。

自然エネルギーの拡大のためには、固定価格買取制度の導入だけではなく、地域間連系線の活用、系統運用技術のイノベーションなどの取組が必要なことは、自然エネルギー財団の政策提言の中でも以前から指摘してきた。自然エネルギーの拡大が、今回のような事態に左右されないよう、中長期的な観点から、送電網の運用改善や整備費用の負担のあり方を、幅広いステークホルダーの参加のもと、早急に検討していくべきである。

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