連載コラム 自然エネルギー・アップデート

日本の産業界が 将来の力と電力をもたらす 英語オリジナル

2015年6月1日 トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団 理事長 (5月28日掲載)

日本の経済産業省よりも、わたしの方が、もっと日本の産業界を信頼している。

経済産業省が提示した「長期需給見通し」策定のための案は、矛盾や、にわかには信じがたい内容や、日本の産業界の能力を非常に悲観した内容が多く含まれている。

特に、風力発電開発の見通し数値については、日本の産業界の能力を大変過小評価しているといってよい。世界中の多くの国で、風力発電は、最も安いコストで新しい電源を提供している。昨年だけで50GW(5千万kW) もの容量が新たに送電網に接続され、フランス、ドイツのみならず、欧州全域、米国、中国で、最大の新しい電力となっている。

そして、世界の風力発電容量は、つい最近、世界の原子力発電容量約380 GW(3億8000万kW)を上回った。風力は化石燃料や原子力よりも純粋に安価なので、世界における風力への投資は、このまま間違いなく増えていくだろう。

日本は元来、風力発電に適している。長い海岸線のおかげで、沿岸や洋上風力の潜在量が多く、風況の優れた浮体式洋上風力も期待できるかもしれない。農家も、欧州や米国の先進事例にしたがって、食糧生産をそのまま続けながら、農地に建てた風力発電で追加収入を得られるだろう。農業の経済性が上がり、若者がより良い収入を求めてやってくる産業になれば、農村生活の魅力は増す。山岳地域での風力発電は、建設コストや送電ケーブルのコストが高くても、標高の高さによる風況の良さと相殺され、風力発電開発に適しているかもしれない。

日本の産業界は、風力発電の世界的な発展の中で高収益をあげる能力を持っているはずである。三菱重工、日本製鋼所、日立などは、風力発電が世界中で発展していく中で、収益性の高い企業になるための前提条件を、既にほとんど備えている。風力発電の技術は、情報技術、空気力学による高効率化、高度な材料科学などの進歩により大きく発展してきた。日本の産業界もその高い能力を駆使していれば、開発段階でも恩恵に預かり、製造システムの改善によるコスト削減にも一役買っていたかもしれない。

それでも経済産業省は、日本産業界がこの潜在力を開発することに関心がない。日本の風力に対する規制は、効率化を追求せず、開発を妨げてしまっている。

日本に風力発電の市場ができない限り、日本の風力産業界が世界市場へ参入するのは、難しいままだろう。

風力発電は、輸入化石燃料の大部分を直接代替することが可能なはずだ。他国と同じ程度の規制や産業化の機会があれば、化石燃料の使用を継続するよりも低コストで実現できるはずである。

しかし、日本の経済産業省の眼にはこの可能性が見えていない。将来の電力公正のためのビジョンでは、2030年まで15年あるのに、日本の風力産業はわずか10 GW(1000万kW)の風力発電の増加しか期待されていない。

あと15年間でわずか1000万kWというが、中国では半年で新設される量だ。

日本の産業界は、はるかにいい業績を上げることができると私は信じる。そして、現在の政策にかかわらず、業績を上げていくだろうと確信している。

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