連載コラム 自然エネルギー・アップデート

2017年春も出力抑制なしで乗り切った九州電力 英語版

2017年6月12日 木村啓二 自然エネルギー財団 上級研究員
分山達也 自然エネルギー財団 上級研究員

 九州は、日本でもっとも太陽光発電の導入量が伸びている地域だ。離島ではすでに実施されているが、今年は九州本土でも太陽光の出力抑制が行われるかと懸念されていた。しかし、太陽光の出力抑制なしで、2017年4月、5月を乗り切ったようだ。春季の休日は、冷暖房需要が少ない時期のため、電力需要が特に落ち込む時期とされている。同時に、1年の中で日射量も強まる時期であるため、天候に恵まれれば、太陽光の発電出力が高まる時期でもある。九州電力の発表によると、九州電力エリアで4月23日午後1時に太陽光の出力が需要の76%をまかなった(図1)。23日の太陽光の最大出力は607万kWに達し、他方で九州電力管内の電力需要は798万kWであった。

図1 九州電力エリア:2017年4月23日のエリア需要と太陽光発電の出力実績
出典:九州電力「でんき予報」
注:九州電力は本稿執筆時点で、太陽光以外の電源の供給状況について公表していない。

 この時、九州電力は需給バランスをとるためにどのように対応したのだろうか。この参考になるのが、昨年の運用実績である。昨年の2016年5月4日(みどりの日)の12時の電力需要は、九州電力管内で約758万kWであった。この時の太陽光発電の出力が465万kWと、エリア需要の61%に達した(図2)。これに、原子力発電、その他自然エネルギー発電も含めると、この時間帯のエリア需要をほぼ満たしていた。さらに火力発電は290万kW発電しており、この時間帯は発電側でだけでエリア需要を295万kW超えていた。この超過分については、揚水発電を活用して216万kWの電力が消費され、水の汲み上げに使われた。さらに関門連系線を通じて中国電力管内への約80万kW計画送電が行われ、需要と供給がバランスされていたとみられる。このように、九州電力管内の発電と需要の状況、そして揚水発電を使った需給の調整と地域間連系線を使った他地域への送電(あるいは受電)によって需給をバランスさせていることがわかる。2017年の春季も同様の運用がなされていたと推測される。

図2 2016年5月4日12時の九州電力管内需給
出典:九州電力「系統情報」より自然エネルギー財団作成

 それでは、今後、九州電力管内で出力抑制の発生可能性はどうか。実は玄海原発の再稼動がその鍵を握りそうだ。九州電力管内では、他地域への送電(融通)と揚水発電を最大限に活用することで、エリア需要を400万kW上回る発電が可能である。したがって、昨年5月4日の電力需要(約)760万kWを前提とすると発電出力の合計を1160万kW以下に調整しなければならない。これに対して、発電側は、火力を最小限に絞った場合、92万kWまで下げられるとされる(系統ワーキンググループ)。これに水力とその他自然エネルギーと合わせると214万kWになる。残りは、947万kWである。

図3 玄海原発再稼働の影響
出典:九州電力「系統情報」より自然エネルギー財団作成

 川内原発(合計178万kW)のみが動いている場合、太陽光は770万kW以上発電しなければ出力抑制がかからない。しかし、今年秋頃に予定されている玄海原発3、4号機の再稼動後は、原子力の合計出力が414万kWとなり、太陽光はおよそ530万kW以上出力すれば、抑制がかかることを表している。つまり、2017年4月23日に記録した太陽光の出力607万kWあるいはそれ以上発電することが予見されると、玄海原発再稼働以降は出力抑制が起こるということである。2017年秋以降は自然エネルギーの普及によってではなく、原子力の再稼働を契機に自然エネルギーの出力抑制が始まることが予想される。

 系統需給のバランスを保つことは重要なことである。その点では、自然エネルギー側は出力制御をすることで、需給バランスの調整に貢献する。他方で、原子力がまったく柔軟性を提供できない点は系統運用上の大きな問題の一つであろう。

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