連載コラム 自然エネルギー・アップデート

米国の自然エネルギー拡大を先導するカリフォルニア④:
自然エネルギー50%をめざすカリフォルニア
初出:『環境ビジネスオンライン』 2014年6月9日掲載記事に一部加筆訂正

2014年8月7日 大野輝之 自然エネルギー財団常務理事

州政府の中でカリフォルニアの自然エネルギー施策を牽引しているのは、エネルギー委員会(CEC, California Energy Commission)と公益事業委員会(CPUC, California Public Utilities Commission)という二つの機関だ。前者はサクラメント、後者はサンフランシスコに立地している。著者は4月下旬にこの二つの機関をたずね、意欲的な自然エネルギー拡大策についてお話をうかがってきた。その概要をご紹介しよう。

RPS制度の強化

カリフォルニアの自然エネルギー拡大策の中心を担っているのが、RPS制度であることは、本連載の中で既に述べた。州政府の制度として最初に法制化されたのは2002年で、この時には、民間の電力小売り事業者(IOUs)だけに、年間販売電力量の一定割合を自然エネルギー電力にすることを義務付けていた。

義務付けの内容は、当初は2017年までに20%だったが、2006年には目標年次が2010年に前倒しされた。更に、前回見たように気候変動対策が州政府の重要課題として浮上する中で、2020年までに33%という目標が設定されるようになってきた。

2011年には、この33%目標が法制化されるとともに、義務を課されるのも民間小売り事業者だけでなく、公共小売り事業者(POUs)を含むすべての小売事業者に拡大された。民間事業者はCPUCが、公共小売り事業者はCECがそれぞれ管轄をしている。

大規模水力と屋根載せ太陽光は別枠

ここで改めて書いておくが、RPSが自然エネルギーとして定義するものの中には、原則として3万kW以上の大規模水力発電は含まれていない。カリフォルニア州の年間電力供給量の中では、だいたい10%程度を大規模水力が占めているがこれはRPS量の外枠だ。

外枠扱いは、もう一つある。それは電力消費者が自分の住宅などに載せる太陽光発電の発電量である。消費者の屋根に載っている太陽光発電の発電量は、電力小売り事業者から見れば販売量自体の減少になるので、RPSにカウントしないのである。最近では、屋根載せ型の太陽光発電も大変な勢いで増加している。したがって、2020年にRPSで33%という数値は、カリフォルニアの自然エネルギー全体で見れば、大規模水力10%と屋根の上の太陽光発電の発電量が上乗せになるわけである。

33%目標は射程範囲

5月に我が国政府が定めた「エネルギー基本計画」では、大規模水力も住宅用太陽光も含めて、「2020年に13.5%」を更に上回る、というのがようやく書き込まれた目標だから、彼我の差に唖然としてしまう。それでは、2020年に33%というこの目標は達成できるのか、CPUCで聞いた説明では、もう達成のめどがたっている、とのことだった。もう個々のプロジェクトのレベルで、電力小売り会社の調達先が決まっているというのだ。

カリフォルニア州の電力会社が自然エネルギー電力を確保する方法としては、自前で建設する場合もあるが、独立発電事業者など外部から調達する方法が主要だ。発電と小売りが分離されているわけだ。自然エネの調達方法には、規模別に三つの方法がある。

中心になるのは、各電力小売り会社が自然エネルギープロジェクトの公募を行う方式である。風力発電に関しては募集の10倍の応募があったそうだ。小売り会社とプロジェクト提案者の個別交渉で契約内容が決まっていくが、プロジェクトごとにCPUCの承認を得ることを要する。

この方法に加えて、個別交渉を行うのでは負担が大きい小規模な自然エネルギープロジェクトの推進策として二つの仕組みが用意されている。まず3千kWまでのプロジェクトについては、あらかじめ決まった価格での10-20年の買取を行うReMAT(Renewable Market Adjusting Tariff)という制度がある。これは一種の固定価格買取制度である。また、3千kWから2万kWまでの中規模プロジェクトについては、一定の募集枠に対してオークションを行い安価なプロジェクトから採用されていくRAM(The Renewable Auction Mechanism)という制度もある。

風力と太陽エネルギーが中心へ

それでは、どのような自然エネルギーが拡大の中心を占めているのだろうか。その内容を示したのがCPUCによるRPS第4四半期報告書(Renewables Portfolio Standard, Quarterly Report, 4th Quarter 2013)のページ6にある図「自然エネルギー電源種類別発電量ミックス、実績と推計」(Figure 3: Renewable Resource Mix, Actual and Forecasted by Year)である。この図はRPS制度の中で供給される自然エネルギーの種別を2003年から2012年までの実績と、それ以降2020年までの推計で示したものである。RPS制度が始まった2000年代の最初は、地熱発電やバイオマスが中心だったものが、2000年代末から急速に風力のシェアが高まってきた。2013年の時点では、風力と地熱が二本の柱というところだ。

しかし今後の予測を見ると最も急速な成長が見込まれるのが太陽エネルギーである。太陽光発電とともに太陽熱発電も拡大が見込まれている。2020年時点では、カリフォルニアのRPS制度の中で、太陽光発電が32%、太陽熱発電が13%を供給すると推計されている。あわせて45%が太陽エネルギー発電だ。州全体で言えば、これ以外に前述のように屋根載せの消費者サイドの太陽光発電もある。風力発電も順調な拡大が予測されているから、カリフォルニアの自然エネルギーは風力と太陽エネルギーが中心を担うことになるのである。

2030年、50%目標へ

2013年10月にAB327という新しい州法が成立した。この法律の最大の眼目は、CPUCに2020年の33%目標を更に上回る高い義務付けを行う権限を与えたことにある。CPUCやCECなどの州政府機関は、この法律の成立を受けて次の目標をどのように設定するのか、そのためには何が必要なのか検討を開始している。2030年目標としては50%という数字が議論されているようだ。来年の初めまでに一定の検討結果が出されるということだった。次回は、どのような議論が始まっているのかを紹介しよう。