連載コラム 自然エネルギー・アップデート

より豊かな経済強国になりうる日本 英語オリジナル

2014年10月16日 トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団理事長

2014年9月で日本が原発全基の稼働を停止して1年になる。1966年以来、初めてのことだ。日本では原子力の発電量がピークを迎えた1998年以降、原子力は期待通りの成長を遂げられず、技術・経済的な問題への対応に苦戦してきた。そして、工学的・管理的側面からのほころびが2011年3月の地震による福島の大事故につながり、日本の原子力発電が停止する事態を招いた。

世界の他の工業国はみな、新しい分散型発電技術の可能性を広く切り開いてきた。送電網と発電設備の分離は、競争を生み出している。自然エネルギー技術と開かれた市場の発展により、自然エネルギーの伸びが昨年、原子力と火力発電の両者を合わせた値を世界的に上回った。

大胆な取り組みにより、ドイツをはじめとする一部の国々の消費者は数年前から太陽光・風力発電産業を発展させるべく費用を負担してきた。先駆者の尽力のおかげで、低コストで持続可能なエネルギーを利用する機会が全世界にもたらされた。米国では、新たな風力発電設備により電力が4円/kWhで提供され、他のどのエネルギー源よりも競争力で勝っている。ポルトガルでは、風力発電は火力発電よりもコストが30%軽減されるといわれており、デンマークでも、新設の風力発電は、新設の石炭火力やガス火力と比べコストを約半分に抑えられると同国のエネルギー庁が報告している。

数少ない原発事業において、そのコストは石炭火力よりもはるかに高く、風力発電と比べると3倍程度に達する事例もあるという。

これらは、日本の従来の電力産業にとって、都合の悪い話であろう。日本が原子力への投資に用いた莫大な資源は、期待通りには決して還元されないおそれがある。

だが、日本人にとって、また日本にとって、世界における発展はこの島国国家の明るい未来を作り出している。日本は、核燃料、石炭、石油、ガスを全て輸入している。そのため、世界の国々が化石燃料やウラン燃料に依存してエネルギーを供給する限り、日本は資源の乏しい国とされるだろう。だが、自然エネルギーを確保するのに経済的に見合う技術が確立されれば、日本は、日本列島で得られる大量の風力、太陽光、バイオマス、地熱エネルギーを活かして、世界でも有数のエネルギー保有国になり得る。

日本では、こういった新しい資源の活用に向けた産業界のシフトが遅れている。日本には産業・技術面の能力はある。しかし政策および制度の立て直しに、相当な時間を要している現状がある。

だが、日本にとって経済的なインセンティブは非常に大きい。新技術の導入がさらに進んでいる他の工業国に遅れをとれば、産業競争力を脅かすことになる。燃料の輸入は費用がかさみ、貿易収支の観点からも、長期的な赤字は許されないだろう。だからこそ、国全体の利益のため政治的リーダーシップのもと従来の電力会社に向き合っていくことが急務である。

これまで我々が目にしたのは、国民が資金を投じて自らの屋根に太陽光発電を設置し国を後押しする姿である。昨年日本は、太陽光発電による供給の拡大という点で、中国に続き二位となった。

いくつかの成果も見られる。電気事業連合会が公表した2014年8月のデータによると、2013年8月と比べて、大飯原発の最後の2基による発電量は失われたが、太陽光の新たな発電容量と省エネのおかげで、電力会社による石油消費量は半減され、輸入コストと二酸化炭素排出量の削減につながっている。

エネルギーが豊富な経済強国に向けた日本の小さな一歩といえよう。