自然エネルギー財団と中国国家電網の関係について

2024年4月8日

in English

今回のロゴ表示問題に関連して、国の複数の担当部局から、当財団と中国国家電網の関係について、何点かのご質問をいただき、ご回答しています。

主にSNS上で、中国政府・中国国家電網との関係について、当財団に対する根拠のない誹謗中傷、役員・職員に対する個人攻撃が行われています。特に大林事業局長に対しては、全く事実に基づかない中傷が繰り返され、脅迫まがいのメッセージが送りつけられるに至っています(大林事業局長の履歴を本ページ下に記載しています)。

中国国家電網は中国最大の送電事業者であり、日本の大手電力会社・電力業界は、以前から様々な協力・交流を行っています(本ページ末に記載)。ことさらに、当財団が一時期、交流があったことを取り上げ問題視するのは、ためにする批判と言わざるを得ません。

こうした事態にかんがみ、国への報告書の概要を公開することにしました。

この報告書をご覧いただき、自然エネルギー財団の真の姿をご理解いただきますようお願いいたします。

自然エネルギー財団へのご質問に対する報告書(概要版)

自然エネルギー財団へのご質問に対する報告書 資料1-5

報告書の主なポイント

■アジア国際送電網構想について

  • 自然エネルギー財団が2011年9月に発表したアジア国際送電網構想は、2011年3月の東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故が明らかにした日本の電力システムの問題点の解決策の一つとして考えられたものであり、中国の利益のためのものでは全くありません。
  • 2011年10月には、増田寛也氏(現 日本郵政社長)を議長とする日本創成会議が、当財団の構想に近い「アジア大洋州電力網(エネルギー版TPP)構想」を提案しています。
  • 国においても、2013年~2018年の間にはこの構想が議論・検討の対象になっています。特に、2017年からは、日本・ロシア間の国際送電線につき資源エネルギー庁とロシア・エネルギー省との間で共同研究・議論が行われたことを、当時の経済産業大臣が国会で答弁しています。
  • 中国国家電網が中心となり、国際送電網に関する国際的非営利団体(GEIDCO)が設立されたのは、当財団がアジア国際送電網構想を公表した2011年の5年後、2016年です。GEIDCOには、元米国エネルギー庁長官のスティーブン・チュー氏が副会長に就任し、世界各国の電力会社、ABB、シーメンス、日立、GEという送電網建設分野の世界的企業、モルガンスタンレーなどの金融機関が参加していたことから、当財団も参加することにしました。
  • 資源エネルギー庁が2017年当時、日本・ロシア間の国際送電線につきロシア・エネルギー省との間で共同研究・議論を行ったのは、日本のエネルギー確保、価格低減をめざすためであり、ロシアの利益のためであるはずがありません。当財団がアジア国際送電網の調査研究を行ったのも、同様に日本の電力システムの問題点を解決する施策の一つとしてです。現在、当財団は、アジア国際送電網の調査を行っていませんが、2011年から2019年にかけて検討・議論を行ったことをもって、中国の利益のために活動したというような指摘は全く根拠のないものです。  

■中国国家電網・GEIDCOとの交流

  • アジア国際送電網の議論が行なわれた2016~2019年の間には、財団と中国国家電網・GEIDCOとの一定程度の交流がありましたが、この期間においても財団活動全体、世界各国、海外企業等との交流の中では限定的なものでした。また2020年以降は、交流自体がほとんど行われていません。
  • 2011年の当財団設立以来、合計106回のシンポジウム等を開催してきました。登壇者の合計は、1166名です。このうち中国からの登壇者は26名、2.33%にすぎません。
  • 財団職員は欧米諸国政府、企業などの開催するシンポジウムなどに数多く参加しており、直近の2023年度では約120件です。中国政府・企業関係のシンポジウム等への参加は少なく、最も多い2019年でも4回にとどまっています。2011年の設立以降現在までの合計でも17回にすぎません。
  • 財団設立以来、財団職員の海外渡航回数は合計約300回であり、うち中国(香港含む。台湾含まず)は1割強にすぎません。
  • 当財団および財団職員と中国政府・企業の人的関係はありません。

■自然エネルギー財団と中国政府・企業との資金的関係

  • 当財団の収入には、設立以降これまで、寄付金、助成金・補助金、業務委託費など名目の如何にかかわらず、中国政府・企業からものは含まれていません。
  • 当財団の財源は、2011年の設立から2015年度までは、ほぼ全額が設立者である孫正義氏の設立当初の寄付金10億円1によってまかなわれていました。
  • 2016年5月19日開催の財団理事会において、孫正義氏から5年間、年4億円の寄付申込みがあったことが報告されました。実際には、2016~2019年度は年4億円、2020年度は3億円、2021年度は1億5千万円、2022年度は1億円のご寄付をいただきました。7年間の総額は申込みを上回る21億5千万円であり、設立以来の総額では31億5千万円になります。このように孫正義氏の寄付が財団の中心的な財源となってきました。これ以外の収入には、民間助成金、業務委託収入、少額の個人寄附金、科研費があり、現在ではこれらが財源の中心になっています。

大林ミカ事業局長の履歴

  • 大林事業局長に関し、SNSの一部で全く事実と異なる情報が流されていますので、以下に履歴を明記しておきます(主な内容は財団のスタッフ紹介ページに記載されており、また国には証明書含め提出し 既に説明済みです)。
  • 同氏は、大分県中津市生まれの日本人であり、国籍も日本です。「大林ミカ」は本名(戸籍名)であり、カタカナ表記の「ミカ」も本名です。
  • 語学学校を卒業後、子育て等を経て、1992年に原子力資料情報室に参加。1999年末までエネルギーやアジアの原子力を担当しました。2000年に環境エネルギー政策研究所の設立に参加し、2008年まで副所長を務めました。
  • 2008年から2009年まで駐日英国大使館で気候変動政策アドバイザー、2010年からは国際再生可能エネルギー機関(IRENA。本部アブダビ)で、アジア太平洋地域の政策・プロジェクトマネージャーを務めていましたが、2011年3月の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を受け、自然エネルギー財団設立に参加するため日本に帰国しました。
  • 2017年には国際太陽エネルギー学会より、国内外で持続可能なエネルギーの普及に貢献したことを評価し、「太陽エネルギー政策推進におけるグローバルリーダーシップ賞」を授与されています2
※ネット上で、大林事業局長の背後に中国の朱鎔基首相の写真が飾ってある写真が取り沙汰されていますが、この写真は、日本記者クラブの喫茶室で共同通信により撮影されたものです。喫茶室には、過去に記者クラブで講演した多くの首相たちの写真が飾られています3

中国国家電網と日本の電力会社、電力業界の関係

中国国家電網と日本の電力会社、電力業界の交流については、WEBで公開されているものだけでも、以下のようなものがあります(2024年4月7日アクセス)。

■東京電力
中国国家電網公司との100万V送電技術コンサルティングに関する覚書の締結
東京電力と中国との交流について
中国国家電網公司との2回線100万V送電線の設計に関する技術コンサルティング契約の締結

■関西電力
電力線通信(PLC)インターネット機器を中国で受注

■四国電力
西北電網有限公司(旧 国家電力公司西北公司)との交流実施について

■九州電力
交流先一覧

■海外電力調査会
国家電網有限公司・日本事務所の趙守和所長によるご講演
国際交流事業

■電力技術懇談会
会員一覧

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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