自然エネルギー財団、世界の風力産業の提言に賛同

2020年5月6日

in English


自然エネルギー財団は、世界の風力産業の提言「Wind Power a Cornerstone of the Global Economic Recovery: "Re-building Better" for the future(風力発電は世界の経済回復の礎:未来に向けたより良い再建)」に賛同しました。

声明詳細はこちら(外部サイト、英文):プレスリリース声明全文 


<参考和訳>
 
2020年4月

風力発電は世界の経済回復の礎 - 未来のための「より良い再建」

風力発電は、新型コロナウイルスによる影響から経済を回復させるための主要な礎であり、この礎によって、政府は持続可能な未来のために重要なインフラを整備しなおすことができる。風力産業は、持続可能な経済回復に必要となる雇用の創出、クリーンで安価な電力の供給、エネルギー安全保障の提供の一助となります。

新型コロナウイルスの世界的大流行は、世界中に計り知れない苦痛を引き起こし、経済と社会に未曾有の困難をもたらした。世界の国々とコミュニティは、失業の急増、資金フローの崩壊、債務負担の増大など、経済収縮に直面している。

各国政府や金融機関は対応に全力を尽くしている。パンデミックとの闘いと人々の保護に力をそそぎながら、世界中の政策当局者たちは経済回復計画を策定し始めている。これまでに実施または発表された緊急経済対策は、全世界ですでに推計10兆米ドルを上回っている。 

新型コロナウイルスの影響がいつまで続くのか、その期間と世界的な回復の速度は、今後数か月にわたってすべての人々がとる行動にかかっている。持続可能で長期にわたる経済回復を実現するためには、成長と雇用を創出する短期的な取り組みとともに、長期的な影響に関する視点を併せもつことが必要だ。何よりもクリーンなエネルギーへの転換を促し、排出基準を引きあげ、公共投資を対象に未来に向けた「より良い再建」を行うことが各国政府に求められている。

この世界的な取り組みの中で、風力産業は、各国政府の主要パートナーとして、経済回復を支える重要かつ長期にわたる貢献をできる準備が整っている。

•    風力エネルギーは世界でも特に成長著しい新規産業部門として、巨額の資本投資の源泉となっている。2015年から2019年だけでも6,520億ドルを超える投資を生み出した。2030年までの風力発電の導入が2TWを上回るなら、年間2,070億ドルから2兆ドルを超える追加投資が生まれることになる。風力産業は次世代型風力タービンプラットフォームの導入にともなって、引き続き、研究開発におけるイノベーションと投資を大きく牽引していくことになる。

•    風力エネルギーは、熟練技術を必要とする雇用や、地域社会の利益を生み出してきた。複数の国際機関は、必要なペースで風力エネルギーの導入が続くと仮定した場合、直接的・間接的な雇用は、2018年の120万人から2030年には3倍以上の400万人弱に増加すると推計している。

•    風力産業は世界のエネルギーインフラを刷新するための重要な推進力の一翼を担っている。クリーンエネルギーによる十分な量の発電容量を導入し、ゼロカーボン自然エネルギーに対応できる柔軟な送電網と洋上風力発電のための港湾インフラの構築は、より広範な経済回復のための基本的な要素である。緊急経済対策による低コストでの資金調達が期待されるため、今後の数年間が将来のインフラ構築にとって極めて重要となろう。

•    風力エネルギーは、社会とそこに暮らす人々の持続可能な未来にとって不可欠な、エネルギー転換の要である。新型コロナウイルスが登場する前の国際社会は、破壊的で不可逆的な気候変動を防止するため、パリ協定を力強く進めていこうとしていた。パンデミックにより一時的に二酸化炭素排出量は減少しているが、こうした傾向がすぐ元に戻ることは、経験則から明らかだろう。気候変動をここで食い止める努力を倍加させることが極めて重要である。

風力エネルギーは世界中で競争力を持っている。わたしたちは救済を求めているのではない。求めているのは、平等な競争の場だ。そして、重要なのは、各国政府が、低炭素の未来への移行を促し加速する資産とインフラに資金を集中することである。

原油価格が過去最低水準を下回って推移している今、わたしたちは、各国政府が効果的なカーボンプライシングを導入し、より良い未来に向けたエネルギー転換に資金を提供するよう強く求める。適切に設定された炭素価格からの収益は、将来の持続可能なインフラを整備する資金となる。

電力市場は、コロナ危機と需要の大幅な落ち込みによって大きな打撃を受けている。各国政府は、運輸、熱、産業の主要部門を含めた経済全体の電化に向けて、決然と動き需要刺激策を講じるとともに、合理的で競争力ある価格を創出するために、老朽化した化石燃料発電設備を引き続き閉鎖していかなくてはならない。

特に若い世代は、現在実施されようとしている経済刺激策のための財政・社会・医療・環境のコストを負担し、支出に伴う債務を抱えていく世代となる。今日の決断が、こうした若い世代に確実に恩恵をもたらすようにしなくてはならない。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の推計によれば、世界的なエネルギー転換の推進に1ドル費やすと、3~8ドルが還元される。したがって、正しい投資が行われれば、その投資は採算が取れるものになる。

私たちは各国政府、政府間機関や世界の金融機関に対して、風力エネルギーへの投資を、経済回復および成長計画の中核に据え、以下の施策に取り組むことを求める。

1.  持続可能で強靭な未来への投資

•    効果的なカーボンプライシングを国際レベルで導入する。すべてのエネルギー源の公平な競争を促し、自然エネルギーの拡大と、運輸、熱、産業部門の電化の加速を実現する
•    充分な投資が電力システムや送電網などの重要なインフラに流れるよう徹底する。資金調達の際には、低い財務コストや、持続可能性基準を遵守する
•    次世代型風力タービンプラットフォームの導入を加速するために、技術革新や研究開発プログラムへの支援を強化する
•    社会と環境に害を及ぼさない「No Harm」の原則に基づいた官民の投資スキームを構築する明確な基準を導入する
•    根拠に基づいた意思決定を実施する。政府が支援する投資については、GDPに与える影響、環境への影響、資源の枯渇、社会的価値、システムの強靭性など、明確な基準を活用する
•    「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の勧告に従い、持続可能性と気候関連情報の開示に関する報告要件を策定し、金融機関・多国間の融資および救済基金を保護する
•    クリーンエネルギーへの投資を妨げる資本逃避の加速と債務の増大に直面する発展途上国や新興国に対するグリーンファイナンスを速やかに拡大する

2.   クリーンエネルギーを実現する環境

•    長期的な価格を見通すことのできる市場設計や合理化された許認可など、クリーンエネルギーの急速な導入拡大を可能にする目的に適う規制を実施する
•    すでに進められている事業や落札された事業を保護し、クリーンエネルギー入札を確実に継続する
•   古い風力発電所の大規模かつ効率的なリパワリングを可能にする枠組みを構築する
•    企業需要家が自然エネルギーを自由に購入し、持続可能性の取り組みを強化できるようにする。規制上のバリアがある場合には撤廃する
•    化石燃料発電に伴う、真の経済的、社会的、環境料補助金の段階的廃止を反映したプライシングメカニズムを導入し、化石燃料補助金を完全に廃止することで、汚染源となり、コストが高く、老朽化する化石燃料資産への投資を抑制していく
•    各国の政府機関や企業が公表する経済回復計画の中で、ネットゼロに向けた取り組み、カーボンバジェット(炭素予算)、カーボンプライシング、科学的根拠に基づいた取組を加速させる
•    電化を通じ、すべての経済分野を脱炭素化するという髙い目標を掲げる
•    環境保護に関する法律を、弱体化させたり撤回したりする提案を拒否する

3.    エネルギー転換を現場で推し進めている人々の地位の向上

•    自然エネルギーへの投資を優先し、直接・間接雇用を創出する風力エネルギー産業の大きな可能性を活用していく
•    職業トレーニングを実施し、雇用が減少しているセクターから、洋上風力発電などの成長セクターへ労働者を再雇用していく
•    公正かつ包摂的なエネルギー転換に取り組む。資源の公平な分配や、ジェンダー、マイノリティ集団や疎外されたコミュニティ全体を横断的に対象とした、訓練や技能開発に焦点をあてた復旧計画に重点を置く
•    風力エネルギーと労働力計画の中核に安全衛生を常に据える

下記に署名する私たちは、各国政府および関連機関に対して、社会とそこに暮らす人々が享受すべき経済回復に共に取り組むことを求める。
 
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外部リンク

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  • 全球能源互联网发展合作组织

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