先進企業の自然エネルギー利用計画(第28回)みずほフィナンシャルグループ、全国200拠点に自然エネルギーの電力2030年度にカーボンニュートラルへ

石田 雅也 自然エネルギー財団 シニアマネージャー(ビジネス連携)

2024年3月21日

[詳細レポート]先進企業の自然エネルギー利用計画(第28回)
みずほフィナンシャルグループ、全国200拠点に自然エネルギーの電力
2030年度にカーボンニュートラルへ

[レポートの概要]

 みずほフィナンシャルグループは3大メガバンクの1つ、みずほ銀行を擁する総合金融グループである。国内外に約200社のグループ会社で構成する。グループ会社に加えて数多くの取引先を抱える金融機関として、取引先を含めた温室効果ガス(GHG)の排出削減に取り組んでいるところだ。2030年度までにグループ内のGHG排出量(スコープ1・2)をカーボンニュートラルにするとともに、電力会社などGHG排出量の多い取引先に対しても2030年度までの排出削減目標を設定して継続的な対策の実行を求めている。

 グループ内の実行策としては、GHG排出量の約8割を占める電力を自然エネルギー100%に切り替えていく。みずほ銀行を中心にグループの中核7社の電力使用量は年間に約3億kWh(キロワット時)に達する。2022年11月までに国内の約200カ所の事業拠点で使用する電力を自然エネルギーに切り替えた(写真1)。2023年度には電力使用量の50%以上を自然エネルギーで調達できる見通しである。

写真1.みずほフィナンシャルグループが入居する「みずほ丸の内タワー」(東京都千代田区)

出典:みずほフィナンシャルグループ

 今後は賃借物件と海外の事業拠点の電力を自然エネルギーに切り替えるのと並行して、みずほ銀行の国内の店舗などで使用する営業用の車両を電気自動車(EV)に置き換える計画だ(図1)。車両の台数は合計で約2000台にのぼる。これをEVに置き換えたうえで、充電する電力を自然エネルギーで供給することにより、燃料の消費に伴うスコープ1の排出量をゼロに近づけていく。

図1.スコープ1・2のカーボンニュートラルに向けた取り組み

出典:みずほフィナンシャルグループ

コーポレートPPAの契約形態を工夫、太陽光発電を最大限に活用

 みずほ銀行は自然エネルギーの電力を増やすために、2022年11月に初めてのコーポレートPPA(電力購入契約)を結んだ。出力の合計が約7500kW(キロワット)の新設の太陽光発電所から、環境価値(二酸化炭素を排出しないなどの価値)を20年間にわたって購入する契約である(図2)。発電電力量は年間に約800万kWhになる見込みで、2024年1月から運転を開始した。

図2.みずほ銀行が採用したコーポレートPPAの契約形態

出典:みずほフィナンシャルグループ

 このコーポレートPPAにおいて、みずほ銀行は独特の契約形態を採用した。電力を使用する事業拠点から離れた場所にある発電設備の電力を購入するオフサイトのコーポレートPPAには、電力と環境価値をセットで購入するフィジカルPPA、環境価値だけを購入するバーチャルPPAの2種類がある。みずほ銀行が採用したコーポレートPPAは、バーチャルPPAでありながらフィジカルPPAに近い契約形態になっている。

 銀行の店舗では、土曜・日曜・祝日の電力使用量が少ない。太陽光発電の電力と環境価値をセットで購入する場合には、毎日の電力使用量に合わせて発電電力量を抑える必要があり、太陽光発電所の規模を制限しなくてはならない。そのぶんGHG排出量の削減効果も小さくなってしまう。この問題を解消するために、発電した電力を小売電気事業者(東京電力エナジーパートナー)が買い取り、環境価値だけをみずほ銀行に供給する契約形態を採用した(詳細レポートで解説)。

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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