連載コラム 自然エネルギー・アップデート

オーストリアにおける木質バイオマスの成功とその日本への応用 英語オリジナル

2014年5月8日 ハインツ・コペッツ 世界バイオエネルギー協会代表

オーストリアでは、820万人の国民が350万世帯の家庭で暮らしている。国土の面積は8万4000 平方キロメートルで、その50%近くは森林に覆われている。

木質バイオマスの発展への取り組みは、1978年に始まった。この年、国民投票が行われ、すでに完成していた同国初の原子力発電所を稼働させないことが決められた。この決定を皮切りに、自然エネルギーを推進する政策が展開されることになった。

1980年当時、バイオマスを使用したエネルギー量は55 PJ(ペタジュール)で、主として昔ながらの薪が使われていた。

2011年になると、オーストリアにおけるエネルギー供給量のうち227 PJがバイオマスを使用して作られるようになった。そのうち180 PJが木質バイオマス、残りが農業や廃棄物から得られたものである。木質バイオマスが一次エネルギー総需要量の12.2%を占め、毎年約2300万立方メートルの木材がエネルギーに使われるようになり、木材の段階的利用が重要になっている。

このような木質バイオマスの利用拡大は、どのようにして実現できたのだろうか? バイオマスが最も競争力を持つのは熱部門であり、最終エネルギー全体の50%が熱として利用されている。そこで、熱利用の市場へ進出する取り組みに全力が注がれ、木質バイオマスの85%が熱、15%が電力として利用されるようになった。さまざまな戦略が展開された。

重要な取り組みの一つとして挙げられるのは、農村部の住民が自らの手で建設・運営する地域熱供給プラントとその供給網の構築である。これによって、その地域の木材チップを地域内で利用する機会がもたらされ、新たな収入が生み出された。現在、2,000以上の0.5~30 MW規模の地域熱供給プラントが稼働している。

ただ、住宅のなかには地域熱供給につなげられないものもある。一つの戸建て住宅をバイオマスを用いて快適に暖めるのには、ペレットを使用するのが便利である。2014年現在、約12万台のペレットボイラーが導入されており、毎年1万台以上が増加している。

こうした計画を下支えする政府の政策は、オーストリアだけでなく日本にも応用できる。政府の主な取り組みは、再生可能な国産の熱供給の利点についての啓発と情報提供、最新林業技術の支援、熱供給プラントを運営する中小起業家の教育・訓練、ペレットボイラーから大型の木材チップボイラーまで、各種バイオマスボイラーへ投資するための強力な財政支援、などがあげられる。この熱供給システムの移行を成し遂げるために、大まかに言って人口100万人あたり毎年800万ユーロの政府による支援が必要であった。この計画は今後も継続され、2020年までの目標として、さらに25 PJ分の木質バイオマスの利用増加を予定している。

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