自然エネルギー財団プレスリリース
「エネルギー基本計画」政府案についての見解 2014年3月13日

 今回の「エネルギー基本計画」の改定は、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故後に初めて行われるものであり、いまだ事故の収束の目途が立てられないという現状を踏まえ、原発に依存しない安全なエネルギーシステムへの転換を指し示すものでなければならない。また、気候変動の進行が一層顕著となる中で、化石燃料への依存を大幅に減らす持続可能な社会への展望についても明確にすべきである。
 しかしながら、政府が決定した「基本計画案」は、原発推進方針の復活に固執するものであり、また、温室効果ガスの大幅な排出削減を進めるものともなっていない。原発と石炭火力を、ともに「重要なベースロード電源」に位置づけていることは、その端的な現れである。
 自然エネルギー財団は、既に昨年12月、「『エネルギー基本計画』への提言」を公表しているが、政府案を踏まえ、改めて以下の諸点について提言する。

1 「脱原発」の大方針の決定とエネルギー転換の推進

 時期や速度についての違いはあっても、原発からの脱却が国民多数の意思であることは明らかである。今必要なのは、原発の新増設を行わないことを明記し、期限を切って原発に依存しない社会へと転換する大方針を決定することである。
 2011年以降、既に全国では原発10基分の電力消費量が削減された。また、新たに設置された自然エネルギー電源だけで、原発1.5基分の電力が供給された。「脱原発」の大方針を決定し、こうしたエネルギー転換を加速すべきである。

2 自然エネルギーの高い導入目標の設定と系統連系の障害打破

 政府案は、自然エネルギーについて「中長期的な自立化を目指していく」としているが、欧州の複数の国々では、大型水力発電抜きでも自然エネルギーが、すでに電力の2割から4割を供給する基幹電源になっている。米国でも、カリフォルニア州など2割から3割程度を供給する州がうまれてきている。
 日本においても、高い導入目標を設定するとともに、送電網への系統連系の円滑化など導入の障害是正を進め、一刻も早く自然エネルギーを日本の基幹電源にしていく方針を明確に定める必要がある。

3 石炭火力の新増設を行わず、火力発電の低炭素化を推進

 政府案は、温室効果ガスの排出抑制のため「次世代高効率石炭火力発電」の開発・実用化を進めるとしている。しかし、こうした「次世代」石炭火力の二酸化炭素排出係数は、既に実用化されている天然ガスコンバインド発電の2倍以上に達する。米国政府も欧州委員会も、こうした次世代型も含めた石炭火力の新設を規制する方針を打ち出し、多くの国際金融機関が発展途上国での設置に対する融資を中止する方針に転換している。
 石炭火力の新増設は行わず、自然エネルギーの導入拡大とともに、高効率天然ガス発電への転換による火力発電の低炭素化を進める方針を打ち出すべきである。

4 地域独占の打破と多様な主体が担う分散型エネルギーシステムへの転換

 東日本大震災以降、電力事業に異業種から多くの企業が参入するとともに、自然エネルギー導入を地域から進めるコミュニティ・パワーの取組が全国で広がっている。大規模集中型のエネルギーシステムから、多様な主体が担う地域分散型エネルギーシステムへの転換を進める方針を明確に示すべきである。

資料 「エネルギー基本計画」政府案についての見解 (0.2MB)


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