「小売電気事業の登録の申請等に関する省令案」に対する意見 2015年7月2日

 東日本大震災とこれにともなう原子力事故は、従来の電力システムの抱えるさまざまな限界を明らかにした。60年以上にわたり、一貫して進められてきた大手電力会社の地域独占と硬直的な電源構成が、日本の電力システムの脆弱性をもたらしている。
 2016年4月からは、震災後に開始された電力システム改革の重要な柱である小売の全面自由化が行われる。2012年7月に策定された「電力システム改革の基本方針」は、小売分野改革のあり方として、「全ての国民に『電力選択』の自由を保証する」ことを冒頭にうたっている。2013年4月に現政権が閣議決定した「電力システムに関する改革方針」も、この基本方針の考え方を引き継ぎ、「需要家が適切に電力会社や料金メニュー、電源別メニューなどを選択できるよう、国や事業者等が適切な情報提供や広報を積極的に行う」、としている。

 今回パブリックコメントに付されている「小売電気事業の登録の申請等に関する省令案」は、第4条と第8条において、小売電気事業者ならびに登録特定送配電事業者にたいし、固定価格買取制度下にある再生可能エネルギーについて「環境への負荷の低減に資するものである旨を説明してはならない」としている。この規定は、「全ての国民に『電力選択』の自由を保証する」という改革の基本的な考え方に照らして、以下のように不十分であると言わざるを得ない。

1. 小売り自由化に際しては、市場における重要な基礎情報である電源構成の表示を、すべての小売電気事業者が行うよう定めるべきである。

 小売事業者の登録という重要な基礎情報を求める省令案においては、需要家の選択肢を拡げ、事業者の事業機会を拡大するための市場創設が促進されるべきであり、そのためには、提供される電源構成の中身を明らかにして、市場の透明性を高めることが必須である。
 実際、欧米諸国では、発送電の分離状況にかかわらず、すでに10年以上前から、全電源の表示がなされている国や地域が多数見られる。今回の省令案には、電源構成に関する情報提供を定める規定がなく、不十分である。

2. 情報提供にあたっては、火力、再生可能エネルギーという大まかな括りではなく、火力発電の中の石炭・ガス・石油、再生可能エネルギー中の風力・太陽光・バイオマス・水力・地熱、などの情報を明らかにするべきである。

 省令案では、第2条において原動力の種類を含めた項目の提出を求め、また、第3条において「小売供給に係わる料金その他の供給条件についての説明」を求めているため、小売事業者がこれら動力源の中身を明にすることは、手続き上、大きな問題となるとは思われない。

3. 固定価格買取制度に基づく電源について規定すべきなのは、買取制度下の再生可能エネルギー電源であるという事実の明記である。

 省令案の「環境への負荷の低減に資するものである旨を説明してはならない」という規定は、「環境への負荷の低減に資する」という文言の意義が不明確であり、再生可能エネルギーであるという事実そのものの表示をも禁じるもののように解釈される恐れがある。
 いわゆる「環境価値」の帰属にかかわらず、固定価格買取制度で生産された電力を使いたいという消費者の選択も可能にする必要がある。一方、今後、大規模に市場に登場するであろう固定価格買取制度以外の新しい再生可能エネルギーとは区別される必要がある。このため、固定価格買取制度に基づく電源であるという事実を明記すべきである。

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