新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた自然エネルギー財団の意見

 資源エネルギー庁が行っている「エネルギー基本計画」策定に向けた意見公募に対し、当財団は本日、以下の意見を提出しました。

資料 新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた自然エネルギー財団の意見 (107KB)

 公益財団法人 自然エネルギー財団は、12月2日に「『エネルギー基本計画』への提言-『原発ゼロ』の成長戦略を-」を公表し、「エネルギー基本計画」に求められる政策の方向を提起した。提言の見地からすれば、今回、基本政策分科会が公表した「エネルギー基本計画に対する意見」(以下、「意見」という)は、基本認識や施策の方向に関し、看過できない多くの問題点を有している。以下にその主要なものを述べる。

1 エネルギー状況に関する基本認識の偏り

 「意見」は、第1章に世界のエネルギー状況に関する認識を示し、この中で化石燃料に関し、北米のシェール革命や中東情勢等について言及している。しかしながら、自然エネルギー(再生可能エネルギー)の飛躍的な拡大が、世界各地で進んでいることについては一言も触れられていない。その一方で、原子力については「新興国を中心とした世界的な原子力の導入拡大」という観点だけから述べており、福島原発事故以降、ドイツ、ベルギー、イタリア、スイスなどの国で脱原発の政策が決定されたことにも、米国で既存の原発の廃炉が続いていることにも全く触れていない。
 こうした「原発偏重」というべき認識の偏りは、今回の「意見」全体を貫いており、原発依存からの脱却を願う国民の多くの思いに背くものになっている。

2 最新の状況に基づく全体的な原発コストを前提とすべき

 「意見」は、原発の発電コストについては、もっぱら運転コストだけから「低廉」という評価を与え、「エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源」と位置付けている。このように、原発の発電コストを運転コストだけから評価するのは、福島原発事故前の「原発の電気は安い」という誤謬に回帰する大きな誤りである。財団の提言で明らかにしたように、最新の安全装置の導入、現実的な廃炉費用などを考慮すれば、その発電単価は1kWhあたり17円以上にもなり、火力発電を大きく上回る。
 新たな「エネルギー基本計画」の策定に向けては、財団が指摘したような最近の状況を踏まえた原発コストの全体像を国民に示すべきである。

3 自然エネルギーを基幹電源としていくことを明確な目標に

 自然エネルギーについては、「国内で生産できる有望な国産エネルギー源」と評価するとともに、「今後3年程度、導入を最大限加速していく」としているが、中長期については「自立化を目指す」という記述にとどまっている。財団の提言で指摘したように、先進的に自然エネルギーの導入を進めてきた国や地域では、既に電力供給の2~4割を占める基幹電源となっている。日本においても、一刻も早く基幹電源としていくという位置づけを明記すべきである。

4 電気料金の見通しについて

 今後の電気料金の上昇の見込みについては、固定価格買取制度に基づく賦課金の影響のみが記載されている。しかし、今後の電気料金の上昇要因としては化石燃料価格の高騰があるとともに、原発の発電コストの上昇も大きな要因になる。一方、省エネ化を進めることで電力単価は上がっても、企業や家庭の電力料金総額を抑制することも可能になる。これらの検討を欠いたまま、固定価格買取制度の影響だけを記載するのは、一面的な議論であり、国民をミスリードするものと言わざるを得ない。

 ここに指摘した4点以外にも、二酸化炭素発生量が飛びぬけて大きい「高効率石炭火力」の推進、産業部門の運用対策による省エネ可能性の軽視など多くの問題点がある。政府は、福島原発事故の教訓を踏まえ、エネルギー転換を進める方針を明確に示す基本計画を策定すべきである。



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