アンケート結果報告「太陽光発電事業の現況とコスト2013」

 固定価格買取制度が2012 年7月に導入されてから1年以上経過したものの、自然エネルギー発電事業の事業環境やコストの実態についての定量的な情報が極めて少ない。そこで、自然エネルギー財団では、太陽光発電の導入に取り組む企業や団体に対してアンケート調査を実施した。

資料 「太陽光発電事業の現況とコスト2013」 (1.29MB)

 この調査の結果、固定価格買取制度によって、太陽光市場と産業は離陸を始めており、コストの低減の可能性も大きいこと、一方、特に系統連系の確保ができないことによって事業を断念するケースが多く、系統連系に関する更なる情報公開、整備・費用負担のあり方についての検討などの課題があることも明らかになった。

 調査項目は、(1)事業環境や市場動向、(2)事業遅延理由や事業実施上の課題・リスク、(3)太陽光発電のコスト、の3点である。以下に調査結果の概要を示す。

(1)事業環境・市場動向
 固定価格買取制度の導入後の太陽光発電事業の売上について聞いたところ、「大いに増加した」と「やや増加した」を合わせると91%に上った。また、従業員数についても、79%が「増大した」と回答しており、制度導入が太陽光発電市場の活性化に貢献していることが分かった。一方、今後3年間の事業見通しについては、「さらに拡大」「やや拡大」との回答が42%に対して、「同程度」が20%、「やや縮小」「大きく縮小」が13%、「わからない」が15%と、事業見通しが良好であるという見方がある一方で、やや不透明感も見られることがわかった。

(2)事業遅延理由・事業実施上の課題・リスク
 太陽光発電事業の実施上における課題・リスクについては、①農地転用などの土地利用規制、②系統連系の確保、③買取価格見通しがないこと、との回答が多く、引き続き制度的な改善が求められる。特に、系統連系の確保ができないことによって事業を断念するケースが多く、系統連系に関する更なる情報公開、整備・費用負担のあり方についての検討が求められる。
 また、設備認定されたもののその多くが未着工であるという問題について、事業遅延理由を質問したところ、総回答数331件(117社)のうち、「系統連系工事の遅れ」との回答が108件(34社)、「パネルなど部材調達の遅れ」が100件(31社)、「資金調達の遅れ」が32件(15社)、「土地調達の遅れ」が24件(10社)、「開発行為に関する許認可等」が20件(15社)などであり、事業者の事業責任に帰することができない理由による遅れも相当あることがわかった。

(3)太陽光発電のコスト
 太陽光発電のコストについては、2012年度から13年度上半期にかけて下落傾向がみられた。ただし、13年度下半期はやや上昇しており、円安による輸入部材価格の上昇が影響していると見られる。また、規模別の導入コスト差は大きく、主な要因はモジュール単価の違いである。モジュール単価については、屋根設置型の低圧設備では、同規模の地上置き設備に比べて約4万円/kW高くなっている傾向がみられた。また、国内メーカーのモジュールと海外メーカーのものを比べると、約5万円/kWの差がみられた。こうした価格差が解消する方向に進むことで、太陽光発電のコスト削減が一層可能であることが示唆される。
 また、同じ規模内でも太陽光発電のシステムコストには差があり、それらに影響を与えているのは、工事費、モジュールコスト、架台コストであった。これは、これら費用を低減させる手法が存在していることを意味しており、さらなるコスト低減の可能性を示している。



※レポートの一部において、誤りがありましたので訂正いたします。
なお、現在、本サイトに掲載されている同レポートは訂正済みのものです(2014年4月18日)。

・本文の該当箇所: 14ページ表2のデータ件数の値



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