原子力発電所の廃炉に係る料金・会計制度の検証結果と対応策(案)に対する意見

 公益財団法人自然エネルギー財団は、総合資源エネルギー調査会の「廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループ」において検討された「原子力発電所の廃炉に係る料金・会計制度の検証結果と対応策(案)」(以下、対応策案)に対して、意見を提出いたしましたのでお知らせします。

意見1

 既存の原発の廃炉や廃棄物処理の残余の費用負担のあり方については、今回のような「電気料金・会計制度の改正」という狭い枠組みで検討を行うことは妥当でない。原子力発電の廃炉に伴うコストは、国、電力会社、電力消費者等がどのように負担すべきか、という議論を踏まえるとともに、負担のあり方が、電力自由化後の競争的市場環境の形成を阻害しないよう留意して行われるべきである。

理由

  • 原子力発電の廃炉コストは、諸外国の例を見ても、将来的に膨大な増加が予想されるものであり、そのようなコストを、他の費用負担のあり方を検討することなしに、安易に国民の直接負担に通ずる電気料金へ算入できるような提案は適切ではない。
  • なにより、国民へ多大な負担を生ずることになるこのような変更提案を、国会で議論することもなく、単なる省令変更ですませることは妥当ではない。
  • 提案されている対応策のように、運転終了後の安全貯蔵期間(最大10年)においても引当期間とすると、この期間の電力消費者は、原発から電力供給の恩恵を受けないにもかかわらず、引当金の費用を負担することになる。これは消費者の負担の公平性の立場から問題である。
  • 今回の検証結果からもわかるように、原子力発電所は停止した後も、廃炉や放射性廃棄物の処分など原子力事業に伴う債務が非常に大きく、その引当基金は十分ではない。東京電力については事故処理の負担も加わる。費用負担のあり方は、これまでの原発事業を推進してきた電力会社と国の責任を明確にすることにあわせて検討されるべきである。
  • 一方、廃炉コストを運転期間以降も電力料金に含める場合、その具体的な方法によっては、新たに参入する電力会社に負担を課し、電力自由化後の競争的な市場環境の形成を阻害するものになりかねない。電力システム改革が阻害されれば、日本全体の競争力を弱め、電力の利用者により重い負担を押しつける結果になる。廃炉コストの負担のあり方はこうした点にも考慮し検討されるべきである。

意見2

 事故炉の廃止措置に向けて新たに取得する設備についても、通常の廃止措置と同様の考え方に立つとあるが、この考え方は妥当ではない。

理由

  • そもそも、事故の廃止措置における資本支出については、すでに「東京電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案」で次のように整理されている。「当該設備は将来の収益を生むものではなく、資産性が認められないため、会計上、資産価値が特別損失処理され、減価償却費が発生しないことから、原価にも算入されない。」
  • 通常の廃止措置と事故炉の廃止措置を同列に扱うことがなぜ妥当なのか、といった説明がまったくない。
  • 事故の後始末の費用負担を消費者に付け回す形になっており、事故を引き起こした事業体・経営者の責任分担が一層軽減される形となっている。事故を引き起こした事業体・経営者の責任範囲と本来電気料金で回収することが認められている費用との線引きが明確にされていない。
  • 事故炉の廃止措置に伴う資本支出がどの程度まで膨れ上がるか見通しが不明である。
以上

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