消費者の観点から見た固定価格買取制度(FIT)のあり方に関する提言書

2012年7月よりいよいよ固定価格買取制度(FIT)が始まりました。制度開始に合わせて、商社や様々な企業が自然エネルギービジネスへの参入を決めており、自然エネルギーの普及拡大に弾みがつくことが期待されています。一方で、自然エネルギーによる電気を一般電気事業者が買い取る費用は、電力料金に上乗せする仕組みとなっており、家庭や企業への負担とのバランスの確保も重要な観点となります。 買取制度が今後、長期的に自然エネルギー普及施策として役割を果たすためには、家庭や企業の理解が不可欠であり、その仕組みによってもたらされる効果、留意すべき点について正しく理解を促すことが重要です。行政、電力事業者、研究者そして消費者団体から、家庭や企業に向けた情報をわかり易く継続して伝えていく努力が求められます。
 本提言書は、公益財団法人自然エネルギー財団(JREF)と認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)が、2012年6月に開催した「FIT制度による負担と投資について考えるワークショップ」の議論の内容を元にまとめたものです。提言書が買取制度に対する消費者の理解促進と、日本の再生可能エネルギーの促進に寄与するものとなれば幸いです。

提言書全文はこちら (PDF)

ワークショップの資料や議事録、録画はこちら

また、自然エネルギー財団では、2月にFIT制度全般に関する提言書と、4月に木質系バイオマス発電に係る提言書を発表していますので、こちらも併せてご参照頂ければ幸いです。

  • 提言書の内容に関するお問い合わせ
  • 公益財団法人 自然エネルギー財団 真野
  • TEL: 03-6895-1020 / FAX: 03-6895-1021 E-mail: s.mano※jref.or.jp (※を@に変更して送信下さい)

提言ポイント

① 制度に関する理解の促進

  • エネルギー政策全体の中での再生可能エネルギーの位置づけや重要性、また、再生可能エネルギーの大幅導入を達成するための施策としての固定価格買取制度(以下、買取制度)の意義、目的といった全体像の提示無くして、消費者の理解は得られない。
  • 消費者の理解を得るためには、買取制度の仕組みを丁寧に説明することが必要。また、専門用語を分かり易く説明するなどの工夫も必要。

② 徹底的な透明性・情報公開

  • 買取制度の利点は、消費者が払った賦課金がどのように活用されるか、賦課金設定の元となる費用の計算等が全てトレースできる形で示せることである。原子力行政の反省を踏まえ、買取制度では再生可能エネルギーのコストデータなど可能な限り全ての情報を広く公開し、専門性・中立性のある第三者によるチェックなどを行い、消費者の信頼と納得が得られるような運用を行うべき。
  • 買取制度による再生可能エネルギーの導入促進効果、雇用効果などのデータを政府が積極的に公表することで、消費者が自分の払った賦課金が全て再生可能エネルギーの導入促進に役立っていると認識できるような仕組みとすべき。
  • また、原子力など再エネ以外の電源を利用する際のコスト(短期だけでなく中長期も含め)の情報も示すべきである。

③ 買取制度のメリット・デメリットの明示

  • 買取制度のメリット・デメリットを明確化し、デメリットは対応策も示す。
  • 電気料金上昇により企業におけるコスト増が想定されるが、現状の電源構成のままでは将来の化石燃料コスト高騰リスクを抱えるため、再生可能エネルギーへのシフトは、長期的なリスク対策効果を持つ点を始め、温暖化対策効果、エネルギー自給率向上効果等のメリットを明示。
  • 一方、デメリットとして、電気料金上昇による企業活動への負の影響についても明示し、対応策として減免措置等の措置がある旨も明示。
  • 再エネ・省エネに企業がシフトできるような買取制度以外の税制優遇などの施策も併せて実施することが重要。
  • また、この買取制度により再生可能エネルギー事業を各地域が主体となって実施することが可能となり、地域経済の活性化を促すことができるメリットがある。その際、地域が主体となるための制度の整備や人材育成などと共に、再生可能エネルギーに関する専門技術・知識の標準化・共有化が重要である。
  • 消費者が単に電気を使い、賦課金を負担するだけでなく、自ら発電事業を行ったり、発電事業に出資するなど再生可能エネルギーの事業に参加できる仕組みである点もメリットである。