公益財団法人 自然エネルギー財団は、本日、インドネシアの電力脱炭素化の現状と課題を分析したレポート（英語版）「Southeast Asia Power Sector Decarbonization: Country Case Study – Indonesia」を公表しました（日本語版は、来月以降公表予定）。
インドネシアは、東南アジア最大の人口と経済規模を誇り、同地域で最も大きな電力システムを有しています。これまでインドネシアの経済成長は石炭火力発電によって支えられてきましたが、化石燃料の中でも最も汚染度の高いこの燃料に依存し続けることは環境的に持続不可能であり、同国が2060年に掲げるネットゼロ目標とも相容れません。
インドネシアは、その市場規模と石炭火力への依存度の高さから、日本政府が主導する2つの国際的イニシアティブ、「アジア・ゼロエミッション共同体」と「アジア炭素回収・利用・貯留ネットワーク」を実現していくためのテストケースとして注目されており、日本のコスト高で、まだ未成熟な脱炭素技術、アンモニア混焼や二酸化炭素回収・貯留の開発・導入に向けた動きが進められています。
電力部門に焦点を当てた本レポートでは、第1に日本の東南アジアに対する誤った戦略と、それがインドネシアに及ぼす影響について指摘し、第2に、インドネシアには豊富な自然エネルギー資源が存在し膨大な潜在能力をもっていること、そして最後に、インドネシアにおける自然エネルギーの導入拡大を阻害している4つの主な要因を示しています。
自然エネルギー財団は、本レポートを通じて、世界的な脱炭素化への流れに逆行する、日本政府の時代遅れの考え方を指摘し、自然エネルギーを推進すべき確かな証拠があるにもかかわらず、石炭火力発電に固執し続け、この地域で化石燃料による火力発電の利用継続を推進する政策の妥当性を問います。
＜目次＞
Introduction
Chapter 1: Japan’s Misleading Decarbonization Strategy Towards Southeast Asia
1) Japan’s “Asia Zero Emission Community” and “Asia Carbon Capture, Usage and Storage Network”: backward initiatives
2) Impact of the “Asia Zero Emission Community” in Indonesia
3) Impact of the “Asia Carbon Capture, Usage and Storage Network” in Indonesia
Chapter 2: The Correct Narrative: Indonesia’s Great Renewable Energy Opportunities
1) A significant, largely untapped renewable energy potential
2) Renewable energy cost competitive against fossil power
3) Reaching high shares of renewable energy electricity is feasible and profitable
4) Industrial developments made possible by the energy transition
Chapter 3: Unleashing the Growth of Renewable Energy in Indonesia: Four Challenges to Overcome
1) Weak medium-term decarbonization policies
2) Coal power lock-in
3) Incomplete electricity system reform
4) Electrical grid expansion
Conclusion
